小僧(喧嘩)

今では自分でさえ信じられないほど子供の頃から若い時代にかけて
短気で粗野でケンカッぱやかった。学校時代では不良仲間に入り、
硬派としてイキガッテいて両親や先生に随分と心配をかけていたが
上京後も性格は変わらず同僚たちや近所の小僧と年中喧嘩が絶えず
社長にはいつも叱られていた。喧嘩が原因で会社を解雇されたことも、
テキヤと争って腕を折られたことも、進駐軍と殴りあって拘置所
一週間ほど留置されたこと等々どれほど迷惑を掛け自らが損をしているか
若い頃には気付くはずもなかった。若気の至りと言えば聞こえがいいが
自分の欠点を考え直す気持ちになれたのは一人の女性との出会いと
闘病生活の長い考える時間が与えられたからだったが、それとて短慮な事で
出会いを失くし、皮肉にもそれが自らを気が付かせたことに今は感謝している。
優しさとは痛い思いをしなければ分からない自分自身がとても情けない。