隠居の独り言 181

歳を重ねると物忘れがひどくなる。先ほど何したか忘れたり、人の名前が急に思い出せない。家族の話は阿吽の呼吸で至便さがあるが、人様との会話でトンチンカンは許されない。情けないがこれが老化なのか。でも最近気付いた事がある。それは記憶力を鍛えれば、歳を取っても衰えないということ。ボクはギター弾き語りを趣味にしているが楽器を弾きながら歌を歌う場合、歌詞を完全に覚えなければサマにならない。楽譜を見ながらの歌詞と譜面を同時に見るのは不可能で、どちらかを諳んじていないと弾き語りの練習にもならない。以前は老人ホーム慰問演奏していたけれど入居者の方が殆ど同世代なので昔の歌とりわけ童謡や軍歌が評判良く、例えば「天に代わりて不義を討つ・・」という歌詞で始まる「日本陸軍」は10番まであるが今も最後まで全部歌える。「ここはお国を何百里」の「戦友」も14番まで何とかいける。5年前までラテンバンドに所属し歌詞は全てスペイン語で詞の意味は分からなくても原語で歌い今でも歌えるのは記憶力向上に役立っていると感じている。歌を思い出し、改めて覚え、声を出して歌うことは脳を鍛える意味でも、また情緒面でも、呼吸器を使った健康法にも、すこぶる効用あるものと自分なりに信じている。最近は歳を重ね、しみじみと歌人の気持ちが読めてくる気がしてならない。それらを継続が最も大切で、一日僅かでも練習をする。徐々に上手になるのも嬉しい。老人も記憶力は衰えず、そして鍛えられることの発見は人生の宝と思う。