内憂外患(5)

元通産官僚の村上氏が率いる投資ファンド阪神電鉄株の大量取得で野球の
タイガースがスッタモンダ揺れている。大きな含み資産を持つ阪神は当然に
ファンドに狙われる可能性があり、かつてホリエモンのフジTV騒ぎ以来
何の対抗策もとってこない首脳の経営責任は大きいと思う。楽天もTBSに
株買占めで会社乗っ取りに躍起になっている。それにしても長年に営々と
築きあげてきた会社がファンドというハゲタカの餌食になるのは忍びないが
時代が変わったといえ優良な会社を狙うのはアコギな方法としか思えない。
しかしこれ以上の詳細は省くとして、お金を儲ける手段が汗して働くよりも
金を動かして利益を上げる人たちにあこがれる今の風潮は嘆かわしく思う。
最近の株式市場の加熱ぶりはバブル時期以上とのことだが、いかにITで
買い易くなったといえ、素人が手を出すのは、結局証券会社に手数料だけ
稼がれるだけだと思ったほうが賢明だ。会社の中の情報量や時間外取引など
とても玄人に敵わない。私たちが株を買う場合は相場の上下に目を走るより
株主にサービス(現物、割引等)のいい会社の株を買ったほうが楽しめる。
最近の金融市場は優良な融資先が少なく金余り状態らしいが、それが余計な
ファンドが増えて今の時代の二極分化をますます加速させている気がする。
「世の中はお金が全て」の意識の強い人は、思いやりの無い心の貧しい人が
多いがどんなにお金があっても人の情や心を埋めることには繋がらないのを
知るべきだと思う。花登筐の「銭の花」のなかで「人間はな、お金持ったら
どんな花でも咲くんや、そのかわり、きれいな花は咲けへん」と女主人公が
語るが、まさにその通りで金銭欲も「お酒の燗」と同じでほどほどがいい。
街で時々見かける装飾品ギラギラのおばさんたちは、自身は美しいと飾って
いるかもしれないが、高慢な醜さも一緒に飾っていることに気づいていない。
お金は使い方で、上品にも下品にもなる。