内憂外患(52)

陛下は72歳の誕生日を迎えられてますますご健勝で喜ばしい。先の大戦
ご体験からか、今年のサイパンご慰霊の旅はとても印象的で感動を覚えた。
紀宮さまのご成婚は喜びの中にも一抹の寂しさをご経験されたに違いないが
娘を嫁がせる親の気持ちがとても身近に感じられた。会見のお話のなかでは
皇室の今後のありかたについてご意見は述べられなかったがご心痛に違いない。
神話の世界では天照大神が祖先神であり皇室の始まりはそこから出発している。
天照大神の孫の“ににぎのみこと”を高千穂の峰に降臨させて、その曾孫が
初代天皇神武天皇になった神話は、小学校の修身の時間で習ったが、それは
大和の国を平定し橿原宮で即位して以来、現在の皇室に繋がっているとされる。
紀元前7世紀から今日までの2600年以上の長い間、幾世紀にも亘って日本人の
気持ちの中に受け止めてきた。日本史には幾多の権力者が現れたがその聖域には
恐れをなして入れなかった。それは美しい日本の伝統であり崇高な権威は精神の
拠り所としたに違いない。それが「万世一系」であり「男系天皇」であった。
それが今の皇室典範に関する有識者会議で「女系天皇」を認める方向らしいが
いかに国民世論が男女平等の論議といえ結論を出すのは少し早すぎるのではと
感じる人が多い事も事実だと思う。それは愛子さまを念頭においてのことだが
女性天皇」は認めても「女系天皇」を皇位継承に決めると長い伝統を誇った
世界最古の王朝の歴史が終焉してしまうのではとの危惧が頭をかすめてしまう。
いつの時代も皇室の危機があり男系に悩んだときも女性天皇でしのぎ今日まで
続いた天皇制を僅か10人の有識者の短い会合時間で決めるのは安易すぎるし
愛子さまが結婚されてお子様を儲けられる何十年先までに時間がたっぷりと
あるのだから広く開かれた形で知恵を絞り議論をし直すべきだと考える。