正月行事

若い頃は正月になると帰省し、遠いところに住む兄弟たちも集まって
両親を囲んでワイワイ騒いだものだったが、当時の父母にとっては
子供や孫に会えるのが待ち遠しくて何日も前から手紙や電話で連絡が
あって手作りの料理やお酒など用意して心待ちしていたようだった。
6人兄弟の上から下までそれぞれに連れ合いやその子供たちも合わせて
二十畳ほどの部屋は足の踏み場も無いぐらいに雑踏して、夜遅くまで
飲めや歌えのドンチャン騒ぎで、それが済むとみんなで雑魚寝をした。
両親にとってはそれがなにより嬉しかったのだろう、会うたびに正月は
早くこないかな、と呟いていた。父が亡くなって、はや20年が過ぎたが
その正月行事が今度は自分の番になって狭い我が家に子供夫婦や孫たちで
一杯になる。下戸の自分もこの日ばかりは飲んで鍋物、おせち、その他で
お腹も満腹状態で話しもはずみ、宴が終われば紅白を観る者、トランプで
遊ぶ者、話し足りない者、除夜の鐘がなる頃までみんなは騒いでいる。
あとは昔のように雑魚寝し朝になればそれぞれに初詣などに散っていった。
人は経験をしなければ分からない。この歳になって老いた両親が味わった
子供たちへの苦労や喜びなどが染みとおるように胸の中を通り過ぎていく。
戦い済んで日が暮れて・・それにしても最近の寒さは身にこたえる。