隠居の独り言(12)

昭和一ケタ生まれも今年で73歳を迎えるが小学校3年生(10歳)で覚えた
教育勅語が今でもスラスラと出てくるのは、あの頃の頭の中がいかに新鮮で
柔らかいものであったか、もっと勉強しておけばよかったと今に悔いている。
「朕惟うに我が皇祖皇宗、国を肇むること宏遠に、徳を樹つること深厚なり、
我が臣民克く忠に克く孝に億兆心を一にして・・・」戦後の教育方針からか、
この勅語も消えてしまったがこの一字一句の良さは子供の何よりの教訓だ。
最後まで読むと今の世相に欠けている社会性や人の情感がとても良く書かれ
現在、学校で使われている道徳の本よりはるかに優れたものだと分かる。
ふしぎなもので最近の事はすぐ忘れるのに当時の事は妙に鮮明に覚えている。
あの頃の暗記力に頼ると講談本や剣豪物が大好きで宮本武蔵、荒木又右衛門、
塚原ト伝真田十勇士など思い出すだけでも血が騒ぐ「やぁやぁ遠からずんば
音に聞け、近くば寄って目にも見よ」そしてチャンバラゴッコをして遊んだ。
親父が唸っていた浪花節もわけもわからずウラ覚えをしたし、祖母が唄った
小唄も自然に耳の中に入っていた。「いろはかるた」から始まって「百人一首
教育勅語」まで子供の頭は意味も分からず覚えたが、それが道徳の基本で
あることは成人になって気づき教育の根本は間違っていなかったと今も思う。
頭脳の新鮮な子供の頃は徹底的に暗記させ、物の善し悪しを覚えさせるのが
教育の基本と思うが、今では「ゆとりの教育」とかで先生の都合が優先されて
子供が置き去りにされているようだ。取り返しのつかない勿体なさを憂う。