隠居の独り言(30)

たしかに戦前の子供は親からのしつけや学校での教育方針は厳しかった。
家の中では親に対しての反抗的な口答えなどは絶対に許されるものでなく
物事の一つもまず父親からの行いが最初だった。昔からの儒教の思想が
浸透していて目上を尊ぶ気持ちは親であれ、他人であれ絶対的でそれが
道徳観の基本であり社会が平和に保たれてきたのも底辺がしっかりして
いたからだと思う。子供同士の遊びにも上下関係はしっかりとしていて
ガキ大将の統率のもとにグループは一つの小さな社会を結成していた。
それはムラの細胞のようなものでルールは全てが合議制で楽しい中にも
決まりごとがありグループの内外のもめ事にも親たちも干渉しなかった。
やがて通った、小学校の教育にも反映されて週明けの月曜日一時間目は
必ず「修身」から始められたし「読み書きそろばん」は詰め込み主義が
主体だがその時は意味が分からなくても丸暗記をして覚えたものだった。
男には兵役義務があり20歳になれば徴兵検査があって健康的な男性は
2年間の兵舎の生活を経験して苦労に耐えた。百の説法より一つの体験で
歳の節目に心身を鍛える事はその人の今後の人生にどれほどのプラスに
なっているか分からない。小さい頃の苦労は買ってでもせよ、とは本来の
教育の姿だが徴兵のよしあしはともかくいい事だったと顧みる。
今も儒教社会の韓国では若者は電車の優先席には絶対に座らないと云う。
目上を尊ぶ思想は見習いたい。  つづく