隠居の独り言(32)

俗な格言に「親の意見と冷や酒は後で効いてくる」とあるがつくづくと思う。
幼い頃は親父に殴られ学校では先生にビンタを張られて叱られ続けた悪童も
大人になれば事の判断が正しく身について社会の中に溶け込めるようになる。
甘やかされて育った二代目が財産を失うように小さい頃にしつけと厳格さを
教えなければその人の性格は生涯が自己中心的な精神構造で終わってしまう。
特に公共的な場所での今の若者の姿は情けないほどに道徳観に欠けている。
例えば電車の中など座席の座り方、携帯の使用、グループの喚声、化粧直し、
弱者への思いやりなどさらさら無く我が物顔に振舞う車内の情景は見苦しい。
戦前には考えられなかった種類の最近の犯罪の数々は元をただせば自分さえ
良ければの自由主義を履き違えた勝手な甘えが原因であることに気がつく。
拝金主義、耐震偽造、談合構造、性犯罪などの共通点は案外に学生時代には
おとなしい子が多く、人への思いやりに欠けた利己主義は団子状態で遊んだ
ガキ時代や青あざの絶えなかったヤンチャで覚えたルールを知らないからだ。
オリンピックは言葉を変えれば武器を持たない戦争のようなものだと思う。
表彰台に立って国旗が掲揚され国家が流れると人は胸に手を当て斉唱する。
勝った嬉しさは個人のものだが国を挙げての行事はその国全ての人が感動し
喜びは何事に替えがたいのは愛国心のなせる事で世界の誰もが持っている。
戦後の自虐的な教育は日の丸も君が代も否定するほどひどいものになったが
国を愛する事は教育以前の問題で自分の生まれた故郷を愛せないに等しい。
今の日本の悲劇は机上だけの勉強しかしなかったエリートと称される官僚や
政治家が権力を握って国をリードしている事だ。 つづく