隠居の独り言(37)

早いもので昭和11年(1936)の2・26事件から70年の歳月が流れたが
陸軍の過激な国粋主義青年将校達が「昭和維新」を旗印に起こした
この事件は陸軍内部の派閥争いで仲間の将校や高橋是清などを殺害し
クーデターを決行したが失敗して事件はうやむやに終わってしまう。
この事件は多くの本に書かれ語り継がれているので詳しい事は省くが
70年の歳月とは当時の新兵だった20歳にしても今では90歳以上で
生き残りの人も少なく事件は遠い歴史の中に埋もれていった感がする。
子供の頃に教えてもらった教科書には事件を起こした青年将校たちは
逆賊のように書かれてあった記憶があるがそれは当時の指導要綱からで
真実は分からない。けれど陸軍派閥の皇道派が破れて東条英機などに
代表される統制派が優位になり、政治そのものが軍部に乗っ取られる
キッカケはこの事件と言って過言でなく其の後は奈落の底に向かって
日本は堕ちていく。二ヵ月後には「大日本帝国」と称し、一年後には
中国で「盧溝橋事件」が発生して泥沼の日中戦争に入っていった。
シビリアンコントロールの大切さを知る上でとても重要な事件だが
其の後に暴走した陸軍を批判もしないで、もてはやした報道機関の
責任も決して軽くない。今の新聞、TV等の機関は大丈夫だろうか。