隠居の独り言(58)

ペトコ・パークでニッポンコールの渦巻くなかで王貞治は宙に舞った。
WBCの優勝は沢山な話題と野球の将来に明るい展望が見えるようだ。
王貞治は少年の頃リトルリーグのメンバーで隅田公園の傍のグランドで
仲間の少年達と野球で汗を流していた。当時は野球全盛時代で子供達は
リトルリーグに入るのに憧れ、将来の高校野球プロ野球を目標として
各グランドでは日が暮れるまでボール音と子供達の喚声が聞こえていた。
大人も草野球の場所取りで夜明け前から並び抽選の結果に一喜一憂した。
あの頃に青春時代を送った人々にとっては野球抜きで話しは語れない。
やがて長島茂雄王貞治の巨人入りの頃から野球は熱が沸騰したように
最高潮に達しファンが爆発的に増えて昭和を象徴するスポーツとなった。
テレビの普及と共に駅の街頭テレビには勤め帰りのサラリーマンやOLが
人だかりをして特に巨人阪神戦などは選手の一挙手一投足に喚声が沸いた。
今回のWBCのテレビ中継に集まった人たちもあの頃の状況に変わりない。
野球の復活を彷彿させるような嬉しさは素直に受け取りたいがどうだろう。
スポーツ界も多様化して子供たちの人気はサッカーが一番だが少年野球の
衰退からこれを機会に再び盛り上げてもらいたいとファンは切に望みたい。
原っぱの減少、公園のキャッチボール禁止、少子化など野球を取り巻く
現状は厳しいが、携帯、ゲーム機等のオタク少年達がグランドで走り回る
日は来るのだろうか。イチローの気迫、松坂大輔の剛球、松中信彦の巧打、
素晴らしいドラマと喜びの大きさを残してくれたこの余韻は当分醒めない。