隠居の独り言(60)

趣味の一つはギターの弾き語りだがその練習時間がなかなかままならない。
楽器の練習は音を出すので家族との暮らしの中で迷惑を掛ける部分もあるし
一人で部屋に篭って練習するのもつい気が引けて家族の和を優先してしまう。
サイレント楽器もなんとなく違和感がして買ったものの知人に差し上げた。
やはり歌や楽器はナマがいい。練習時間は制限されるが、そこはやりくりで
短い時間を上手く調整して使えば集中力が付いてだらだらよりもはるかいい。
ギターを始めたのは17年前に村治昇ギター教室の門をたたいてからだが
上達度は遅々として進まない。習い事の上達は素質、根気、環境などの
さまざまな要因があるが、どれも足りないのだから諦めざるをえないが
上達はこれでいい、と言うことはなく感性は無限に広がる。難しい楽器に
挑戦はしたがここにきてやっと音の美しさが分かってきた気がしている。
今の後悔の一つに入門がせめて10年前に遡っていたらといつも思う。
クラシックギターの有名曲は「禁じられた遊び」「アルハンブラ」くらいで、
なじみの薄いものばかりが多いのでいま一歩進むことが出来ず少し転換した。
弾き語りは声と楽器のバランスが要求されるが歳とともに声量が衰えはじめ
小音量のギターとのバランスがちょうど今がいいのかな、と自分を慰める。
昭和40年代にラテンが流行った時があってアントニオ古賀坂本スミ子
アイ・ジョージなどが活躍していたのを今も憧れそれが弾き語りの原点だ。
夢中で仕事や子育てをした時代を経てやっと自分を見つめた時、これからが
人生の本番かもしれない。