隠居の独り言(92)

最近の事件簿は人間の常識をはるかに超えた信じられない記事が多い。
親の幼児殺し、少年の凶悪犯罪、少女監禁、小学生通り魔事件、等々
それに平塚で起きた猟奇的な事件は横溝正史推理小説を見るようだ。
けれど「犬神家の一族」や「八つ墓村」にしても財産目的のひとつの
パターンだが、今回の容疑者の54歳の女の犯行の原因はいろいろと
取沙汰されていて複雑怪奇な人間模様など報道を何度聞いても理解が
できそうもないが探偵の金田一耕助ならどのように解決しただろうか。
気も重いが「事実は小説より奇なり」とはこのような事なのだろう。
それにしても簡単に人を殺める短絡的な心根は、どの事件も共通して
いるように思えてならない。日本人はいつの日からこのように堕ちて
しまったのだろう。親子関係も、近所付き合いも、ひいては愛国心
冷えて自己中心的な最近の風潮はかつての日本人とはとても思えない。
親が子を殺す、子が親を殺すなんて畜生道にも劣る行為は昔の世間では
稀に見る犯罪だったが最近の日常茶飯事は人間の世紀末なのだろうか。
子供の頃、大阪の下町に住んでいたが近所の人たちはみんなが優しくて
一匹の魚、一本の野菜も分け合って家族同様に付き合った人達はどこへ
行ってしまったのだろう。あるべき人の道は自然に身についたものだが
相手を見れば油断の出来ない社会の到来はなんとも悲し過ぎる。