隠居の独り言(129)

NHK大河ドラマ功名が辻」もいよいよ佳境に入り秀吉(柄本明)が
天下統一のために最も苦心した若き日の魅力ある時期が画かれている。
晩年の秀吉は朝鮮出兵や利休、秀次への弾圧など醜い限りだが若い頃の
彼は知略あふれ人情味もあって特にこの辺りの生きざまは素晴らしい。
主役の山内一豊上川隆也)の妻千代(仲間由紀恵)の知恵も冴え渡り、
宿敵柴田勝家勝野洋)と戦った舞台は今の滋賀県の賤ヶ岳や長浜だが
話し変わって先日行われた滋賀知事選挙で社民党推薦の女性候補が自民、
公明、民主三党推薦候補を選挙前の予想を大きく裏切って勝利した。
勝因は「もったいない」の一言で貫き通したのが良かったとされている。
県の財政に余裕が無いのに新幹線の新駅を作ろうとして赤字を拡大させる
政策に待ったを掛けた県民の要望に乗った。まさに千代の智謀のようだ。
社民党といえば、かつては土井たか子が「ダメなものはダメ」の一言で
戦った消費税選挙で大勝したこともあったし小泉純一郎も「郵政一本」で
自民党を磐石のものにした。今回の三党の作戦ミスはこれらの旋風の
教訓をすっかり忘れて「分かりやすい争点」をないがしろにした事だ。
安部官房長官は「地方選挙ですから」と逃げ腰だが内心は穏やかでない。
小沢一郎は面目丸つぶれでぶっきら顔がよけいにぶっきら顔で情けない。
原因はまま、あるだろうが国も地方も財政が圧迫しているのに政治家は
無関心で「声無き声」の庶民が最も敏感に思い票に現れてきたのだろう。
「もったいない」は昔からの日本人の感覚であり、それを忘れての借金
財政は破綻するところまで来ている。政治家、役人はまさにA級戦犯だ。
今こそ政治家たちは真摯に庶民の声に耳を傾けるべきだ。