隠居の独り言(133)

北朝鮮のミサイル問題で霞んでしまった日銀の福井俊彦総裁の去就問題は
このままうやむやになってしまうのだろうか。金融行政の責任ある地位の
人は、あらゆる団体や企業と利害関係に付くことは許されるはずがないが
財務省などの銀行局や証券局につくポストの人間さえ株の処分を要求され
身を清めるのが普通なのに日銀の理事や副総裁を務めて総裁にまでなった
人が知らなかったでは済まされない。この方は東大法学部を主席で卒業し
外交官試験、司法試験、公務員上級試験など全てトップだという話だから
脳の構造はどうなっているのだろう。競争馬でいえば「三冠馬」以上だ。
東大出身といえば問題の発端の村上ファンド村上世彰も、ライブドア
堀江貴文福井俊彦の後輩で、彼らの知識は抜群に秀でているのだろうが
子供のころから秀才ともてはやされて人を見下す事はあっても情の部分が
欠けて育った欠陥人間に他ならない。元東大出身の総理大臣は記者会見で
「君はどこの大学出身かね」と個別に聞いたという話は顰蹙を買ったが、
福井総裁も数年間でウン千万円も儲けて人には「巨額の利益を上げたとは
思わない」との庶民感覚を逆なでするような発言は資質を問いたくなるが
市井に住む人々の一般常識からは離れすぎて呆れ腹の立つのもアホらしい。
とかく世間は学歴や知識のある人を単純に尊敬し、その反対者を侮蔑する。
けれど知識などは理屈だけで情愛とは全然違ったものだと教えられたのは
皮肉にも今回の福井総裁の言動だった。知識は豊かな感受性の上にあって
こそ、はじめて生きるものでそれが本当の教養と思う。福井さん、素直に
辞めなさい。