隠居の独り言(134)

子供のころ親父はよく浪曲を唸っていた。♪旅〜行けば、駿河の国の〜
茶の香り〜・・おなじみ広沢虎造の「次郎長伝」は耳がタコになるほど
聞かされた。そのセリフと節は自然に子供の頭に入って覚えたものだが
祖母がたまに三味を入れると浪曲に花が咲いたように心地よかったのが
懐かしく思い出される。その次郎長ストーリーがNHKTVで木曜夜に
放映されているのに先週気がついた。気がついたら既に5回目で残りは
後半の5回とやらでチト悔しい。あらすじは親父の浪花節を思い出せば
分かるが映像の世界もなかなか面白い。次郎長(中村雅俊)に女房の
お蝶(田中美里)子分の大政(草刈正雄)小政(水橋研二)石松には
山本太郎)のキャストの演技も良くて、これから木曜日は早く帰宅
しようと思っている。博徒清水の次郎長は幕末から明治にかけての
日本の歴史の曲がり角に生きた実在の人物だが博打うちでありながらも
人情味が深く江戸の大地震の時はいち早く救援米を届け、明治に入って
からも船舶業や英語塾を経営する才覚があり山岡鉄舟榎本武揚とも
親交があって、波乱万丈の人生をしっかり生きた私には憧れの人物だ。
「三つ子の魂、百までも」の諺があるが小さいころ聞いた親父の浪曲
今になって分かってきた気がして、嬉しくなった。