隠居の独り言(150)

今年の8/9日は広島に原爆投下して61年になるがアメリカ空軍が落とした
原子爆弾で罪のない市民約17万人が即死し生存者も後遺症は今でも後を
引いている。戦後になって「負ければ戦争犯罪者だ」の言葉を話したのは
広島・長崎原爆投下や本土空襲の総指揮をしたアメリカ戦略空軍司令官の
ルメイ大将だが無抵抗の一般日本人の数百万が死傷して敗戦の惨めさを
嫌というほど実体験させられた。そのルメイ大将に対して日本政府は後に
「日本の自衛隊の空軍の育成に多大の功績をした」として勲一等勲章を
贈ったが何とも言えない悔しさと政府の無神経さが気持ちを逆なでする。
いくら戦後アメリカにお世話になったといっても多くの同胞を殺戮した
張本人にそのように遇するのは日本人の尊厳からいってとても情けない。
大戦中、日本軍のほうが連合軍より民間人には害を加えなかったことは
その後の調査で明らかになっている。昔から戦争は軍人同士が戦うのが
長く培われた英知のはずだが騎士道や武士道の誇りはどこへいったのか。
20世紀に入って武器の発達とともに人間の精神面が崩れて消耗戦になり
残忍な殺戮が日常茶飯事になってしまう。チャップリンは、ある映画で
「1人を殺せば犯罪者だが何万人も殺せば英雄となる」と言ったのは痛烈だ。
ルメイ大将こそが戦争犯罪人の最たるものではないか。ナポレオンだって
フランス以外のヨーロッパの人から見れば暴虐な侵略者だが戦争犯罪人
汚名は着せられていない。西洋諸国がかつてはA・A諸国を植民地化して
過酷な搾取をして今でも尾を引いているのに謝罪した国家はあるだろうか。
「勝てば官軍」の言葉が身に沁みる昨今だ。