隠居の独り言(167)

昔の新聞の三面記事には殺人とか放火とか事件はあまり見かけなかった。
まして親殺しなんて考えられなかったし尊属殺人は理由の如何を問わず
死刑判決で当時の教育の基本は儒教だったからそれの倫理観からいって
親に逆らうなんて畜生にも劣るとされて親を敬い意見の全てに従った。
昔の教育で育った私にとっては北海道で起きた少年の母殺しはまことに
衝撃的で何と解釈していいのか分からない。ましてや中学時代の友人に
母の命を30万円の金でやりとりをしたというから少年の心の中に棲む
悪魔はいつから潜んだのだろう。生まれてこの方、ずっと大事に育てて
くれた母に対して感謝のひとかけらも無いのだろうか。他人事のように
殺人を依頼し、依頼された少年もたかが30万円で殺人実行するなんて
言葉も無い。母子の距離がそんなに遠く離れてしまった原因は何だろう。
母は4年前に離婚をしたらしいが子供にとって親は選べない。どんな
理由にしろ、離婚は子にとって最大の迷惑ごとで両親は子供の立場まで
考えた末の結果なのだろうか。突き詰めれば親たちが結婚をしたときに
子供を育て成人するまでの責任を負う義務を考えた上の挙式だったのか。
「健やかな時も、病める時も」と神前に誓ったはずではなかったのか。
所帯を持ち子供を儲けた以上は我慢の二文字が今の人には足りないと思う。
いびつな家族関係が真面目な彼らを犯罪に走らせたとすれば、その基の
短絡的で無責任な男女の結びつきが最近の少年犯罪の一因になっている。
家族のあり方を見直す、当たり前の事が問われている。