隠居の独り言(177)

昨日、ぎっくり腰をやってしまった。朝の洗面所で食後の歯磨きをしようと腰を
かがめたとき急にガクっときた。若いときは無理な姿勢や重いものを持ち上げた
負担でなるものだが何の理由もなくふとした体勢で来るとは老化現象なのだろう。
前ぶりもなく突然襲う痛さには参ったが昨日は私の天中殺だと思って我慢をした。
奇しくも今日は「老人の日」。誰もが老いたくはないのだが天子様から庶民まで
公平に歳を取るのだから仕方がない。秦の始皇帝は不老不死の薬を捜し求めて
徐福という者に命じ、彼は3000人の若者と多数の優れた技術者を連れて東海に
(多分日本)船出したらしいがその後は行方不明で杳として知れなかったという。
徐福が漂着した伝説は日本全国に点在して吉野ヶ里遺跡もその一つだが事実と
すれば日中交流の始まりかもしれない。けれど不老不死なんてありえない願いを
求める始皇帝の気持ちを分かるのは老いた証拠で彼のしたことは笑えない。
老化のメカニズムはいろいろな説があって活性酸素が関係するとか遺伝子による
老化制御とかあって人間なら80年、ネズミなら3年などと生物によって寿命が
決まっているらしい。老いも人生の過程のうちでわざわざ「老人の日」だなんて
余計なお世話だ。老人優遇の乗り物パス券や諸々のサービスがあるが使うたびに
年寄りの意識をよけいに高めさせる。そんなお金があったら今の少子化の時代に
若い人の結婚促進や子育てに廻してあげればいい。高齢者平均貯蓄高2000万で
年金で暮らせれば結構「毎日のパンと少しのお金があればいい」チャップリン
言葉のようにあの世にお金は持っていけない。森羅万象全ては命が決まっている。
老いは哀しいが命が続く限りは人生の最中で充分に楽しんで生きたいものだ。