隠居の独り言(196)

世の中景気がいいらしい。今の景気が40年前戦後最長の「いざなぎ景気」を
回復期間で並び来月には最長の更新が確実となったらしいがほんまかいな?
日本の神話ではイザナギノ命とイザナミノ命が雲の上から剣で水のしずくを
落として大八州(おおやしま)つまり日本列島を作られたとの伝説があるが
「いざなぎ」の言葉はそれがモトで有史以来最高の景気という意味らしい。
40年前のあの頃は♪モーレツ・なんて言うCMがあって猛烈に働いた時代で
今の団塊の世代も「金の卵」ともてはやされて日本中が明るい未来を共有して
各家庭には三種の神器に代表される3Cの車、クーラー、カラーTVが入り
海外からは「エコノミック・アニマル」と称されその象徴は大阪万博だったし
行き帰りは出来立ての新幹線が夢と希望を乗せて「一億総中流時代」を走った。
今の「平成景気」はなんだろう?庶民にピンと来ないのは世の中が二極化の
格差社会で「いざなぎ景気」の5年間は所得が2倍になったけれど平成では
所得は変わらずに税金や保険が増えてむしろ5年間で実質収入が減っている。
景気のいいのは電機、自動車、精密機器など輸出産業が好調だが理由の中に
銀行の不良債権処理を進める中でリストラに取り組み雇用の過剰から抜けて
利益が最高潮に達している。その雇用のひずみで所得の格差が生じニート
フリーターが増えるなどして多くの庶民の明るさが見えてこないのが現状だ。
実際的に「いざなぎ景気」の時代と違って今は人手が要らなくなっている。
例えば鉄の溶鉱炉もかつては一万人以上働いた現場でも現在は百人もいない。
機械化ロボット化が進み少ない人数で大量の生産可能となれば会社の経費の
多くを占める人件費が削減されますます利益に繋がる。会社では定期昇給
廃止したところもありベア無し春闘が定着している。実感の伴わない景気の
回復は庶民の不信や拝金主義を招くがこれは健全な社会と言えるのだろうか。
格差社会のいびつが気になる昨今だ。