隠居の独り言(205)

NHK大河ドラマの「功名が辻」は最近5年間の大河では高視聴率らしい。
大河ドラマは歴史の出来事を忠実に再現しようとして政治的な流れや戦闘の
シーンなどを重視したがる男性視聴者と歴史は苦手だが話しが分かりやすい
作品を希望する女性視聴者の両方を満足させるにはプロデユーサーの腕の
見せ所だろう。「武蔵」や「義経」など歴史の英雄があまり目立ち過ぎると
視聴率があまり伸びないのは大河ドラマの宿命かもしれない。その点では
5年前の「利家とまつ」では豊臣秀吉に仕える前田利家唐沢寿明)と妻の
まつ(松嶋菜々子)の物語で、今回の「功名が辻」でも同じく秀吉の家来で
山内一豊上川隆也)と妻の千代(仲間由紀恵)との共通点で視聴率が高い。
英雄ではなく、英雄に仕える立場の一般人に近い夫婦をテーマにしたことで
親しみやすく見ることが出来るし逆に英傑と云われる人物のワルやずるさも
描けて面白い。ささやかに生きる市井の庶民と権謀術数の権力者との対峙が
分かりやすいところが視聴者を逃がさない。いよいよドラマは佳境を向かえ
関が原に進むが東軍徳川家康西田敏行)と西軍石田三成中村橋之助)の
天下分け目の決戦で各大名の、どちらに味方するかによって運命が分かれる。
私たちの人生だって岐路に立った時がたびたびあった。進学校を決める時、
職業を決める時、伴侶を決める時、家を建てる時、その時々に悩みながら
自分の道を選んだ航路はこれからも困難な局面にぶつかるかもしれない。
振り返れば、成功した人、そうでもなかった人、失敗した人、歩んできた
人生の歴史にイフは許されない。これから後半の「巧妙が辻」は楽しみだ。