隠居の独り言(210)

時代劇を見るときいつも時代考証が気になるが「功名が辻」の関が原で
家康(西田敏行)の率いる東軍が75,000人、三成(中村橋之助)西軍は
100,000人で陣形も軍勢も圧倒的に東軍の劣勢を知り一豊(上川隆也)は
死の覚悟を決めるというが当時の情報戦では敵軍の人数などは大まかな
もので、まして上層部でない一豊や千代(仲間由紀恵)分かるわけがない。
小早川秀秋(坂本浩之)の裏切りで家康方の勝利になったが、秀秋だって
正確に陣形も軍勢も把握していれば寝返りする事もなかったわけで歴史が
人間の些細な判断の違いで人生を変えた戦いであったのがよく分かる。
西につくか東につくかで大名達は疑心暗鬼のなかで大いに迷ったと思う。
戦いはわずか半日で終わるが「一将、功なって万骨死す」で何万人もの
死体で付近の川は赤く血で染まったという。敗れた西軍は惨めなもので
残兵狩りで兵は殺害され、石田三成、安国寺恵媛、小西行長らは京都の
六条河原で斬首された。戦争の結果は「勝てば官軍、負ければ賊軍」で
思いおこせば先の大戦だって日本が連合軍に負ければ汚名は全て負けた
日本にかぶせられ将軍達はA級戦犯で裁かれ兵たちはB級戦犯とやらで
現地で処刑されている。血の償いをさせられ財産や領地を取られるのは
今も昔も変わらない。おりしも昨日の報道はイラク前大統領フセイン
死刑判決を伝えている。戦争とはこういうもので正義とか不正義とかは
勝者のほうの理屈で負ければ主張の権利さえ失うのは現在の日本と同じで
歴史を紐解けば勝った徳川は幕府300年の地盤を磐石にしたし、現代でも
勝ったアメリカは今後数百年の世界のリーダーは変わらない。日本は敗戦の
後遺症は当分消えそうもなくあえいでいる。