隠居の独り言(221)

前総理小泉純一郎は1年生議員を集めた会合でなかなか味な発言をした。
「政治家っていうのは常に使い捨てされることを覚悟しなければならない。
それが嫌なら国会議員にならないほうがいい」小泉チルドレンの親分から
郵政造反組の復党反対の言葉を期待した出席者連中は呆然としたという。
それはなにも政治家に限ったことじゃない。一般の商品だって技術革新を
進め、期間ごとにモデルチェンジを積み重ねないと製品も組織も硬直化し
やがて気がつけば奈落の底にいる。放漫経営で倒産した例は数多くあるし
会社の平均寿命は30年とも言われている。顧みれば私の会社も30年を
過ぎているが現在もどうやら息をしているのも得意先の要望に応えられた
事がなによりだったと思う。バブル最中の好景気にはもはや望めないが
かつての大量生産を目指した方針から少量生産、高品質に切り替えたのが
今の時勢に合って良かったのだろう。縫製の仕事は人の手を経る事が多く
職人の技術と経験がものをいうので機械化や合理化は難しくその点では
世の変動には遅れているかもしれない。どの産業にも言えるが価格の面で
中国その他の外国には太刀打ち出来ず日本の製品は独創性と少数生産に
対応して高品質を心がけた経営戦略を立てないと利益を追求できない。
それだけに難しい世の中になったが、物が豊富に存在している消費者に
買っていただくためにはオリジナリティやハイセンスをアピールしないと
財布の紐がゆるまない。最近の消費の2極分化は99円ショップが売れて、
片やシャネルやグッチやヴィトンも景気いい。軽自動車が売れている一方
ベンツ、BMWトヨタレクサスなどの高級車も納車まで数ヶ月は掛かる。
日本人全体が中流意識を持っていた昭和後期にはもはや戻れないがせめて
気持ちは明日を見つめていたい。