隠居の独り言(233)

あの日から65年が経ったが今もなお夢を見ているような気がしてならない。
8月15日の終戦の日には日本中が先の戦争を思い出して反省をして二度と
戦争を起こすまいと平和の誓いをする。誰だって戦争は嫌だし平和がいいに
決まっている。戦争直前の軍人にも戦争反対者は大勢いた。昭和16年の秋の
中頃まで連合艦隊司令長官山本五十六は対米戦争を絶対反対の立場をとり続け
日本の10倍の工業力を持つアメリカに挑むのは玉砕に等しいと説いていた。
外国を知る海軍組は勝ち目の無い亡国の愚行は分かっていたのに東条英機等の
多数派の陸軍組はアメリカの実力を検討もせずにこれまでの勝ち戦の時代的な
精神構造に支配されて戦争に突入していった。歴史の皮肉は緒戦の真珠湾攻撃
指揮官は山本五十六だったことだ。彼は100%の負け戦と知りつつも身を賭して
戦場に散ったが個人的な評価はともかく敢行した真珠湾攻撃を逆にアメリカは
プロパガンダを利用して米国民の戦意を高揚して結果は日本の敗戦に繋がって
300万人以上の犠牲者を出して降伏する。あの時真珠湾を攻撃していなければ
同盟国のドイツ軍が厳冬のロシアの大地でソ連軍に敗退する直前だっただけに
日本も大戦に踏み切れなかったはずで僅かの時間差が悲劇を生んでしまった。
当時のヨーロッパ戦線は枢軸国のドイツ軍が破竹の勢いでヨーロッパ大陸
ほとんどを制覇して大戦の終決も近いと勘違いをして日本も有頂天になった。
その点は東条英機山本五十六も機を見ることの大切さを誤ったというべきだ。
報道によるとアメリカのイラク政策の変更が検討されたとの事だが、少し前に
検討されれば中間選挙民主党に敗れることはなかったはずだ。機は恐ろしい。
歴史に「もし、れば」は許されない。過去は変えられないしこれからの時代を
平和に暮らす算段を熟慮しなければならない。ただ平和を叫ぶだけでは虚ろに
響くだけで身辺が無防備では暗い夜道を女性が一人で歩いているようなものだ。
国を固める装備と心の決意が無ければ我が身の安全は保証されない。しゃくだが
日本の近隣諸国はハゲタカのような国ばかりで領土を奪い資源をさらっている。
自衛力と法律をきちんと整えてから平和を謳うべきは言うまでも無い。 了。