隠居の独り言(240)

幕末明治の頃に日本にやってきた外国人達が驚いたのは町の清潔さや日本人の
勤勉と向学心そして優しさ思いやりのある礼儀正しさだった。それは世界でも
最も優れた国民性とその伝統などを当時の外国人たちの著書に記されている。
目上を敬い、目上は目下にいたわりや優しさを持ち、家族という小さな単位の
社会でも父母に厳しさ優しさを習い団欒を通じて思いやり気配りを身に付けた。
外国人に褒められるまでもなく日本人はもともと気持ちの優しい国民性だった。
それが一気に崩れたのは戦後のことで、敗戦を経験して日本人としての自信を
無くした事と、科学技術の発達によるTVやPCや携帯等の普及で人間関係が
希薄になったのが人間としての優しい思いやりの情操感をいっそう駄目にした。
先週の国会で教育基本法が可決成立したのは実にタイムリーであったといえる。
改正法には「我が国と郷土を愛する態度」とか「豊かな情操と道徳心」などの
戦後の教育で軽視されてきた理念を変えた文言が入っているのはとてもいい。
反対する野党や一部のマスコミは愛国心を押し付けられるものと心配している
ようだが愛国心は押し付けられて身に付くものではない。与党案よりも愛国の
点では民主党案が良かったが党利党略で反対に回るとは残念だ。日本の文化と
伝統を学び世界を知って、日本人に生まれた幸せを感じれば、それが愛国心だ。
世界大会やオリンピックで優勝をした表彰台の選手で君が代が流れているとき
口ずさまない人が多々いるが国歌を歌わないのはおそらく日本人だけだろうか。
家庭教育と幼児教育の規定が新設された意義も大きいと思う。子供にとっての
人生の最初の教師は親と家族であることを忘れてならないのは言うまでもないが
最近の若者のモラルの低下やいじめや学級崩壊などは、煎じ詰めれば子供の頃の
家庭のしつけや愛情の欠如が起因しているのが多いが、この基本法の成立を機に
形骸化している道徳の時間を充実させるべきで文科省、学校、家庭、地域社会が
今度こそ一丸となって取り組んでほしい。失ったものを取り戻すのには倍の苦労が
必要だが気付いた小さな事から始めよう。せめて礼儀だけは昔の日本に戻したい。