隠居の独り言(241)

ロシア・サハリン沖の天然ガス開発「サハリン2」で三井物産三菱商事などの
参加している事業は完成直前にロシアから環境破壊とかのイチャモンをつけられ
結局はロシア国営企業が横やりを入れて権益の半分以上をよこせと迫っている。
ロシアの汚い事は今更ではないが、日ロ間では戦後のシベリア抑留や領土問題で
政経不可分の原則がいつのまにか崩れ、経済が発展して今回の天然ガス開発から
今度はトヨタが工場を作る話などが進むとますます平和条約や北方領土が遠くに
霞んでいくようだ。トヨタも商売といえども日本の企業なら自国の尊厳を少しは
考えてほしい。日ロ関係の歴史を紐解いてみれば明治初期に千島樺太交換条約で
煮え湯を飲まされている記憶を思い出すべきではないのか。あの時に日本政府は
江戸時代初期より日本が所有していた蝦夷地(樺太)をシベリア東部に無原則に
領土を広げてきたロシアに半ば強引に奪い取られた。それは政府の譲歩を重ねる
交渉の拙劣さで、最初は日本も樺太全土の所有権を主張したが武力で威されると
島の中央の北緯50度以南、次は48度以南と徐々に権利を後退させるという拙な
やり方で結局は全土を取られてしまう。先日の麻生太郎外相の弱腰発言の内容を
聞くまでもなく現在の北方領土の交渉状況とまるで同じなのは実に情けない。
前首相の小泉純一郎北方領土の会には一度も出席しなかったがどうしてだろう。
自信が無いのか知ろうともしないのか対ロシアの筋の無い外交には呆れ果てる。
ロシアと領土問題を解決して平和条約が締結されるまでは経済関係を自粛せよと
民間に言えないのは政治の怠慢じゃないか。教育の面でも現代史で旧ソ連による
敗戦直前の日ソ不可侵条約の一方的破棄、日本降伏後に満州で続いた暴虐の酷さ、
日本兵のシベリア強制抑留、北方領土の不法占拠等の日本とロシアの間の歴史を
正確に語り継ぐ事をしなかったツケが諸々の方面に出てきているのを知るべきだ。
政治家や経済界の人たちに言いたいのは真のロシアを分析してほしい。