隠居の独り言(258)

不二家の不正事は会社の浮沈にかかわる事態になったが創立100周年の寸前で
起きた信用失墜は長年の習慣的な怠慢で老舗企業が持つ典型的なアグラを掻いた
姿勢は何年か前の雪印があっただけに教訓とされていないのは何とも情けない。
1995年に賞味期限の表示が義務付けられて以来は実行するのが信用のはずなのに
末端の社員にまで浸透されていないのは上層部の指導不足と、社員一同の食品に
対しての認識の甘さは会社ぐるみの大失態といわれてもしかたがないだろう。
会社という組織は多くの歯車が組み合わさって一つの形態を成している。近所の
不二家に務めていたパートのおばさんは、これからの不安を隠しきれないでいる。
所帯が大きいだけに影響も多大で取引をしている業者からパートのおばさんまで
今日の生活に関わった事を社長から社員一同まで考えたことはあるのだろうか。
不二家以外の食品メーカーも似たような事はあるはずで今の不祥事は他山の石と
せずに、もう一度社内をチェックしてもらいたい。今度の事件は他人事でないと
思うのは、縫製関係の仕事をしている我が社でも十数年前に製品に針が混入して
いるのに気がつかずに出荷して、得意先を無くした苦い経験があるからで失敗を
許されない企業責任は重い。縫製の仕事は作業中にミシン針が欠けて製品の中に
混入する事が時々あるが大抵はそこで気がついて針を取り除く。それでも最後の
仕上げの段階では検針器で調べて製品の一つ一つをチェックする作業を怠らない。
万が一、お客さんに買っていただいて、怪我でもしたら取り返しがつかない。
食品にしても衣料にしても商品のお金を頂戴する以上はその責任は絶対のはずで
不二家の事件は全ての産業にとって反面教師のように思えたはずだ。北海道の
ガス中毒死、またも明らかになった建設業界の談合は古い体質の改善が必須だ。
今回は食中毒とは無関係だったのは不幸中の幸いだが再び体勢を整えてほしい。
ペコちゃんの笑顔が何か哀れなようで、もう一度ほんとの笑顔が待たれる。