隠居の独り言(271)

愛知と北九州の地方選挙で柳沢伯夫大臣の女性蔑視発言が微妙に投票に影響した
らしいが、この低俗な問題に隠れてしまったのは、先月に久間章生防衛大臣
アメリカのブッシュ大統領イラク政策を批判したのには驚いた。仮にも閣僚が
日本の国益にとって大きな影響が考えられる発言は決して許されるものではない。
彼個人の頭の中は何を思うのか勝手だが防衛大臣という重責にある人が同盟国の
大統領を批判するのは一般と違って重みが違うと認識しての発言なのだろうか。
イラク問題は疑問を持つ事は百も承知だが、それなら何故アメリカの国策を支持
する安倍内閣の、しかも防衛省を引き受けたのかその理由を示していただきたい。
百を譲って久間大臣のイラクに対する論理が正しく、政府の考えが違っていても
国会が選んだ内閣の一員になった以上は政府の政策に忠実なのが内閣の一員であり
それに反対なら下野して意見を述べるのがいい。民主主義の根幹にも係わる問題で
これでは内閣不一致と野党から批判されても返す言葉も無い。イラク開戦の時に
イギリスのブレア政権の外相をしていたクック氏は考えが違うと内閣を去ったが
その信念も勇気も無い久間大臣の勝手我が儘を許している総理もどうかしている。
今なおイラクで働く自衛隊員に士気を削ぐような発言は、軍隊のイロハも知らず
同盟関係の重要さも認識していない「防衛の長」とは世界の笑い種になっている。
この日本の防衛大臣の発言を聞いて、苦しい戦いを強いられているアメリカ兵や
その家族はどのように思っているだろう。中東から石油を日本に運ぶタンカーの
安全を守ってくれる同盟国の苦労に感謝の気持ちの一つも持てないのだろうか。
普天間基地問題もアメリカ批判を繰り返している大臣は日本の閣僚とは言えない。
今度は麻生太郎大臣もイラク占領を幼稚と批判をしたが内閣の見解はバラバラだ。
前総理の小泉純一郎の決断は見事で失敗続きの当時の田中真紀子外相を切ったが
安倍晋三は八方美人的でやる事なす事、閣僚のご意見ご尤もで決断力に欠ける。
「売家と唐様で書く三代目」は江戸川柳だが、やはり三代目の器なのか。