隠居の独り言(273)

今春に公開される映画「蒼き狼」は史上最強の帝国を築いたモンゴル騎馬軍団の
チンギス・ハーン反町隆史)の物語だが、戦争に馬を使った機動的な作戦は
鉄砲という飛び道具の無かった時代では画期的なもので、後に欧州の騎士団や
コサック兵などに受け継がれて世界的に騎馬隊が成長していくが、何故か日本は
源平合戦源義経の騎馬隊が有名で後は戦国時代の武田騎馬軍団ぐらいのものか。
考えるに日本は狭いうえに土地の起伏が多く騎馬隊の活躍場所に欠けていたのと
蹄鉄を付ける発想と技術が伝わらず、戦闘などで馬を酷使するとヒヅメの損傷が
激しく必ず予備の馬を連れていったので経費も相当に掛かったものと思われる。
戦前の軍隊にも騎兵連隊があったが実質的に活躍する事無く任務を終えている。
歴史ドラマもその辺りを詳しく解説してくれると現実味があって面白いのだが・・
時代小説は長い時間というベールに包まれているから、作家によっては解釈が
それぞれに違い、人物像も自由発想に描かれるのでネタ探しには事欠かない。
NHK大河ドラマ山本勘助内野聖陽)も実在したかも判明しないが、まして
恋人のミツ(貫地谷しほり)などフィクションの恋物語をあたかも史実のように
ドラマ化しているのを観客は承知しながら楽しんでいる。話の筋書きとしては
戦国大名を列記しなければならないので、山本勘助が仕官先として探す相手に
武田晴信市川亀治郎)、今川義元谷原章介)、北條氏康(松井誠)たちが
登場してくるが当時の封建社会で一介の素浪人が一国大名に目通りが適うとは
とても考えられないがこれもドラマのストーリーを分かり易くするためだろう。
武田、今川、北條の三つ巴の関係は硬軟両面の騙しあいで歴史の結末は三家とも
滅んでしまうが猜疑心と欲望の生き様を見る思いで昔も今も人の心は変わらない。
大きくは国家間で、身近には家族間といえども喧嘩があり、人間は争いがあって
成長がある、と思えば勉強のうちだろう。ドラマもいよいよ佳境に入る。