隠居の独り言(276)

東京では春一番が吹いたがこのままだと観測史上初の雪無し冬になるのかも・・
暖冬は年寄りの普段の生活には有難いのだが繊維の季節商品を扱う業者としては
頭の痛い問題で、冬の最中に小売業界の品物が売れないと売れ残り在庫がかさみ
来期の秋冬商戦に響いてくるのは必至だ。昨年の厳冬では冬物商戦は良かったが
お天気の神さまは気まぐれで折角の景気の上向きも暖冬では消費の足取りも重く
景気回復にブレーキを掛けている。自分自身も今冬は新しく一枚の衣服も買わず
季節は過ぎていくがウォームビズのスタイルは昨夏流行ったクールビズと違って
目新しさも少なくあまり受けなかったようだ。けれども気候の寒暖や若者たちの
流行ものにとらわれない高級ブランドや上質の個性を楽しむ顧客は相変わらずの
人気で扱う店舗は売り上げも前年よりUPでここにも二極分化時代が表れている。
個性化の時代はモノを作る側からすれば個々の多様化と技術の向上を求められる。
モノ作りの厳しさと楽しさは「もろはのやいば」のようで技術的に進歩する反面
単価がそれほど上がるわけでなく生産数は落ち利益面ではむしろマイナスになる。
繊維は機器もの等と違って壊れるものではないため、流行や洒落を追わなければ
買い換える事がないのが難点だ。戦後のモノの無い時代は過ぎて家の箪笥の中は
着るものに溢れて衣料の需要はますます落ちていく。でも言いたいのは業界では
新しい企画や流行を求めて主に若者層に狙いを定めるが、少しは中高年向きに
焦点を当ててみてはどうだろう。若いときには若さによる凛々しい美しさがある。
Tシャツだって膝の開いたパンツだって、みずみずしさはそれを補って充分だが
歳を重ねたら違った美しさをプラスしないと肉体的な外面は衰えるばかりだ。
精神的な内面の美しさを加味するのは当然だが、外面のお洒落にも気を遣いたい。
中高年になるとめんどうくさがったりする人は多いが、むしろ若い時より格好よく
ありたいと思う。洒落っ気で、キザっぽく、少し不良っぽく、そんな熟年がいい。