隠居の独り言(295)

昭和初期の頃は不況のせいか新聞広告に「赤ちゃん売ります」の文字が
書かれていて子供のいない人や裕福な人が赤子を引き取ったそうだ。
熊本市にある慈恵病院では今度「赤ちゃんポスト」を設置するらしい。
育児が困難な親から生まれたばかりの赤子を預かる赤ちゃんポスト
設置を市に申請して許可が下りるらしいが実際のアイディアとしては
賛否両論だが私見としては賛成でこれも時代の流れではないかと思う。
ポストの設置で無責任な母親が増えるのではないか?道徳観の欠如では
ないか?いろいろな意見があるにせよ最近耳にする幼児虐待や育児放棄
保護責任など子供に対する痛ましい事件を聞くたびに赤ちゃんポスト
赤子の駆け込み寺になるのは仕方がないだろう。最近の男女のモラルは
不義や何とか交際などで目に余るものがあるがそれによって闇から闇へ
葬られる堕胎の数は年間に数十万人に達するという。子は親を選べない。
ドイツなどでは既に導入されているとかだが、その辺りも日本人の心も
西欧化されてきているのだろうか。童話「ヘンゼルとグレーテル」では
幼い兄妹が親に棄てられる物語だが、日本の昔話では子供が棄てられる
話は無く逆に楢山節考など姥捨て山のはなしで老人が棄てられる場合が
多いのは国民性なのだろうか。現代では核家族化で老人が子供や孫達と
一緒に暮らす家庭が少なくなって老人ホームなどは考えてみれば一種の
老人ポストのようで気が滅入る。赤ちゃんポストに老人ポストの考えは
人情味の薄れた日本人とは思いたくないが現実に精神面もグローバルな
マイナス点が沁みてきた将来が思いやられる。赤ちゃんポストは全面に
賛成しているわけではないが子供の幸せを思えば大事に育てたい。