隠居の独り言(296)

東京証券取引所は12日に上場廃止の可能性があると監理ポストに入れた
日興コーディアルグループの株式について上場を維持すると突然発表した。
東証西室泰三社長は「組織的、意図的に行なわれたとはいえない」として
不祥事で上場廃止になった西武鉄道カネボウなど過去の事例とは異なると
説明しているが少し異論がある。監理ポストに入れたり出したりするのは
東証独自の判断で行なわれるのは投資家にとって、どうにも納得がいかない。
監理ポストに割り当てられ上場廃止の黒い噂が流れると、一般投資家には
投売りをした人も多いが、それらの人々に責任を感じているのだろうか。
株を投機の目的で買っている人はともかく安定株主に対しての東証の弁明が
無いのは真面目に株式を持っている人への傲慢な態度としか言いようがない。
インサイダー取引が裏の世界なら監理ポストの出し入れは表の株価操作だ。
日興の現経営陣は旧経営陣に損害賠償を求める方針だが東証も投資家に対し
見通しの甘さを謝罪し損売りをした分を損害賠償するのが当然ではないか。
組織ぐるみの不正関与を明らかに出来なかったのが上場廃止の見送りの理由
らしいがそれなら金融庁が5億円の課徴金を課した不正会計は何だったのか。
平成9年に山一證券が自主廃業して以来、野村、大和と共に三大証券会社の
一角を成してきた日興が上場廃止になれば市場の混乱が起きるのを想定して
混乱回避を優先させたのだろうが上げたり下げたりの東証の判断は疑問を残し
廃止を前提に動いていたアメリカ金融大手にも対日戦略の見直しは必至だし
東証の信頼性は薄れ国際的にも影を落とした事態は否めないだろう。いっぽう
踊らされた一般投資家にとっては踏んだり蹴ったりだ。