隠居の独り言(303)

水泳世界選手権の百メートル平泳ぎで日本の北島康介は惜しくもアメリカの
ハンセンに敗れたが彼の「二位なんていらない」の言葉は明るく素晴らしい。
フィギュアスケート世界選手権をTV観戦したが女子金メダルの安藤美姫
銀メダルの浅田真央、男子銀メダルの高橋大輔などの日本のフィギュア界は
世界トップクラスでよくぞここまで成長したものだと感激がとても嬉しい。
とくに女子の選手達のスタイルの美しさは、欧米人たちに全然ヒケをとらず
ひと昔前には考えられなかった華やかさがリンクを一層見事なものにした。
それにしても競技中は一瞬の目も離せず、集中力を要求される過酷なもので
回転の着地の時などハラハラしてしまう。彼女たちの技術力はもちろんだが
競技中に精神力の強さを維持するのはどれほどの鍛錬を積むことだろう。
スポーツの世界では一瞬の油断も許されない。大相撲春場所も優勝決定戦で
朝青龍は立会いに白鵬のはたきこみに敗れたのは一瞬の隙をつかれたことだ。
話は変わるが成功した人達は異口同音に「いや、運がよかっただけですよ」と
謙遜なさるが天性の才能があるにせよ、たゆまない努力の積み重ねでの結果で
あって運だけではない。逆に自分はツイていない運が悪かったとふてくされて
いる人物はだいたいが努力をしなかった結果であると本人は気付いていない。
安藤美姫は肩の負傷から這い上がってきたし韓国のキム・ヨナも腰痛と足首の
怪我にもめげず銅メダルを取っている。美の競演の裏には熾烈な競争の物語が
あってよけいに観るものの感動を与えてくれる。スポーツであれ、芸事であれ
仕事であれ、運と努力の組み合わせは人生の縮図そのものだ。