隠居の独り言(319)

商標登録は登録した者だけが使える知的財産の一つで他者の使用は許されない。
吹けば飛ぶような零細な我が社にも「Muthangler」のロゴマークが登録されて
刺繍入り釣り帽子やフェルトキャップに使われている。映画「釣りバカ日誌」で
西田敏行が被って愛用してくれたし、日立の電器製品のCMの片隅にもあった。
それとは別のルートで「WESTPOINT」のマークの許可を得て生産をしたが、
数年も前から見かけるのは中国製の物で作った覚えも無い品物が出回っている。
最初に申請をしてから更新を3度しているので30年以上が経っているけれど
特許事務所に相談をしたら調査費や訴訟費など相当に高い金額を示されたので
諦めざるをえない。中国のルール無視は今に始まったことではないがWTO
世界貿易機関)加盟国なのに自国の海賊版の違反業者を取り締まれないのは
知的財産の暗黒大陸と言われても返す言葉も無いほどの最低国だ。あらゆる
日本の産業界で海賊版に悩まされその被害は甚大だが提訴しても中国に誠実な
態度も無く広大な大陸相手ではすべが無いのが実情だ。その被害は日本だけで
9兆円にも達するそうで世界的にも米マイクロソフト社は中国のパソコン台数に
比べてウィンドウズの売り上げが極端に少なく、それでもWTOに訴えようと
しないのはどうしてだろう。日米の産業界も海賊版に苦しめられながらも我慢を
しているのは「巨大市場」という存在を考えるからでそのイメージに負けている。
アメリカがかつては繊維や車など日本と通商摩擦が激しかった時代は容赦なく
対日制裁を適用したのに中国に甘いのはどうみても中国流の相手を自分の土俵に
誘いこむ手法に負けてしまっているとしか言いようがない。狡賢い中国の戦術は
さすがの超大国アメリカもやられっぱなしで泣き寝入りしているのは中国戦略を
褒めるべきかそれとも日米の弱腰を責めるべきか、日本が泣きをみるのは自明だ。