隠居の独り言(332)

GWが過ぎて元の生活に戻った感じはホットする部分と、もう少し休みたかった
思いが交差するなんて人間は随分勝手な物体で出来ているものだと思ってしまう。
これも年中行事の一つで日本の春夏秋冬は地球の誕生以来のマンネリズムだから
それぞれの季節を楽しみ次に来る季節を心待ちにしながら人は営々と暮らしてきた。
縦長の日本列島は季節の多少のずれはあっても稲作農家では春になれば苗代を作り
初夏は田植えをして夏になれば田の水の管理や雑草を取って秋に稲刈りをする。
昔の農歌に「苗代は肥えたる土に風の淀 絶えぬ流れを受けてこそよし」があるが
素人から見ると田んぼの稲が風にそよぐ風景がいいが、風が淀むのがいいらしい。
次には「日照りには朝夕はらえ畑の草 日のなか取るな、作りいたむぞ」日中は
陽が強くて土が乾いているので草を取るとヒビから水分が蒸発して不作になるとか、
大地を友に生きてきた昔の農民たちの経験が実にうまく詩に詠みこまれている。
封建時代は殿様に年貢米として収穫の半分(所によって異なる)持っていかれるが
現代だっていろいろな項目で税金を納めなくてはならないのでそれほど変わらない。
どちらにしても春夏秋冬を基にした農業暦にかわりなく、この季節の稲作農家は
田植えに忙しいことだろう。都会暮らしには季節感を味わえる体験が少ないのは
仕方ないが町の路地には鉢植えのサツキやチューリップが初夏を告げ、街路樹の
ハナミズキは町全体を華やかなものにしてくれて晩春の風物詩を語っている。
日本文化の傑作の一つに俳句があるが、とにかくあの文芸では17文字のなかに
季節を詠み込まなければならないのは何とも粋だが、決まりの季題も易しそうで
なかなか難しく歳時記を確かめてみないと間違える事も多々ある。例えば童謡の
「赤とんぼ」は秋の季題だが「夕焼け」は夏の季題だそうで、歌を歌ってみると
♪夕焼け小焼けの赤とんぼ・で作詞した三木露風は季題を無視したとしか思えない。
話はそれたが日本の森羅万象は四季を基準に動いている。人間の生活の一日だって
朝に目覚めて昼間は動いて働き、夜の寝るパターンは生まれたときから変わらない。
歳を重ねて健康の秘訣は規則正しい生活をするのがなによりで毎朝おなじ時間に
起きておなじようにおいしく朝食を食べられるのが健康の一番のバロメーターで
これ以上の幸せはない。