隠居の独り言(338)

世の中便利になったものだ。PC、携帯、ナビ、ETC,非接触型ICカード等
年寄りには付いていけないものばかりだが、なかでも簡単で便利なものは電車や
バスのICカードで、パスモなどは申し込み殺到で製造が追いつかないと聞く。
先日も旅行したとき車内が混んでいたのでグリーン車に乗り換えたが席の頭上の
マークにスイカをタッチするだけで色が変わり検札の手間も省かれてしまう。
それにしてもこれらのものは実際の情報がおおもとに伝送されて決済となるが
こんな複雑な仕組みを考える人間の知恵の発達には驚きだが末恐ろしい気もする。
イカも来春には西日本のイコカや東海のトイカとも相互利用が出来るそうだ。
いつか駅で見かけた外人さんはスイカをかざして改札口を通り抜けて行ったが
逆に考えると日本人が外国を旅行する時には、拙い会話でキップを買う必要が
無いわけで将来のICカードが世界的な共通切符になれば飛行機の国際便も
国際列車も自由に改札口を通過する事が出来れば世界の旅も便利この上ない。
しかも一枚で買い物からホテルまで全てまかなえたら言葉の苦労も要らないが
そんな時代がすぐそこまで来ているような気がする。私が生まれた昭和初期では
菅笠被った百姓が水を張った田んぼに腰をかがめて一本ずつ稲の苗を植えていた。
電気、水道の普及も都市に偏り、ガスも大都市の一部にしか通っていなかったし
戦時中は石炭不足のため長距離旅行者は行き先と理由を示さねばならなかった。
ラジオの普及率も各家庭に一台はなく雑音の響くスピーカーから朝のニュースで
米国のリンドバーグが大西洋単独飛行横断に成功し「翼よ、あれがパリの灯だ」と
叫んだエピソードも今は夢のようだが、あれから僅か一世紀近くの文明の発達は
人類史上で最高最速のスピードではないか、知恵はどこまで進むか見当もつかない。
でも便利の半面は危険とも背中合わせで、カードの紛失や盗難等の課題はどうする。
最近の家の玄関や部屋の施錠に指の静脈や指紋で開け閉めするのが増えているが
個人情報の面からも将来の発展はこの方面だろう。