隠居の独り言(339)

NHK大河ドラマ風林火山に出てくる戦いの場は、その殆どが今の長野県の
信濃地方だが、その信濃は本州の中央部に位置して人の行き来や物流なども
この国を通過するには欠かせない地理的存在で、この地を制する事が周辺の
大名たちの最大の関心事だった。信濃地方はいくつかの盆地があり水路にも
恵まれて中世期から田畑の生産は想像以上のものがあったから土地をめぐる
争いは絶えず、一般に戦国時代の定義は応仁の乱(1467)からと云われるが
信濃では、北の村上氏と南の小笠原氏の戦いの大塔合戦(1400)など一世紀も
前から多くの豪族達が争う戦国状態に入っていた。群雄割拠の戦乱の時代は
サバイバルゲームのようで誰も信用出来ず相手を倒さなければ自分が危ない。
親兄弟の家族間でも目的意識が違えば抹殺される悲しい時代でもあった。
ドラマは諏訪を手にした武田晴信市川亀治郎)は山本勘助内野聖陽)の
策略で信濃の要塞長窪城を攻め落とし望月一族を全滅させて意気が上がるが
私生活では愛妾の由布姫(柴本幸)が晴信を愛しながらも父親の仇の恨みを
心底捨てきれずに思い悩む。女性の心理をどこまで描き出せるかが柴本幸
見所だろう。筋書きは当時の北信濃で大いに勢力を張って武田軍団を相当に
悩ませた難敵村上義清(永島敏行)がいよいよ登場してくるが信濃争奪戦は
大きな山場を迎えることになる。