隠居の独り言(341)

今年は彦根城築城400年祭で一帯は賑わっているそうだがキャラクターに
猫の「ひこにゃん」というのがあって、ぬいぐるみ、マスコット、絵本など
グッツの売り上げに力を入れている。彦根はなぜ猫かというと「招き猫」の
由来が、江戸時代に彦根藩主の井伊直孝が某寺の門前を通りかかったところ、
白い猫が手招きをしたという。それにつられて境内に入り休息をしていたら
にわかに空が掻き曇り雷鳴が轟き寺の門前に雷が落ちたという。井伊直孝
不思議な猫の導きで命を助けられた事から寺に田畑を寄進して菩提寺とした。
寺は栄え、その後に豪徳寺と名を改め、後世の人が猫の姿をかたどったのが
招き猫のルーツらしい。日本人はそのような由来の話にはめっぽう弱いらしく
縁起物の招き猫はあっという間に全国へ広がっていった。猫の招いている手は
何故か左手が多いがそこのところは分からない。それが商売繁盛、家内安全に
結びつくのは日本人の懐の深さと信心の気持ちが大きいとしか言いようがない。
動物を信心するには猫のほかには狐が欠かせない。いわずとしれたお稲荷さん、
本店は西が京都の伏見神社で東は豊川稲荷が有名だが、出先機関は数知れずで
近くのビルの上にも鎮座ましましている。研究不足なので分からない事が多く
赤い鳥居が何体も行列しているのも、狛犬ならず狛狐が巻物を咥えているのも
何かの由来があっての事だろう。風林火山武田信玄の兜の飾りになっている
水月は狐の象徴だったらしく信玄もお稲荷さんに一目置いていたに違いない。
ヤオヨロズの神方が日本全国いたるところにあるのは私たちが自然への畏敬を
持っていることで日本人に生まれた幸せを再認識する。