隠居の独り言(344)

映画「ALWAYS三丁目の夕日」で一平(小清水一揮)が六子(掘北真希)に
「テレビが家にも来るんだ」って言うシーンは印象的だがあの昭和33年頃は
一般家庭にもテレビが普及しはじめ電化生活が徐々に豊かになっていく時代で
戦後の荒廃から立ち直る背景があったがNHK大河はまだ始まっていなかった。
第一回のスタートは昭和38年「花の生涯」からで当時の番組を調べてみると
鉄人28号、ルート66、三匹の侍夫婦善哉等で、社会面では吉展ちゃん誘拐、
ケネディ大統領暗殺、狭山事件、など時代は荒れていた。時の首相は池田勇人
所得倍増宣言をして「貧乏人は麦飯を食え」と物議をかもしだしていた頃だ。
あれから大河も今年で48年目に入り毎年のように観ていた自分も感慨深いが
ドラマの舞台としては長い日本史の中で戦国時代が、きわだって人気があり
今年も含めて登場する戦国武将は織田信長豊臣秀吉徳川家康武田信玄
回数でも群を抜いていて主役になるのは当然だが、最近の大河は歴史の舞台の
脇役を主人公にしたドラマが多く昨年から「功名が辻」の山内一豊上川隆也
風林火山山本勘助内野聖陽篤姫宮崎あおい天地人直江兼続と続き
坂の上の雲」の正岡子規秋山真之も日本史を脇から支えた人物でもあった。
昨夜のドラマは大井夫人(風吹ジュン)と由布姫(柴本幸)の女性間の葛藤で
武田晴信市川亀治郎)が由布姫を甲斐から諏訪へ戻すことからはじまるが
運命の雲のように流されて由布姫の恨みと情愛が交叉する女心の揺れるさまは
とても哀しく写る。勘助と晴信の主従の共有の願いは姫に通じたのか、戦乱に
明け暮れる時代でも必死に生きるさまざまな人間模様を見た気がした。