隠居の独り言(361)

子供のころに読んだ本で忘れられないのは「真田十勇士」の逸話で猿飛佐助や
霧隠才蔵の忍術や三好清海入道などの豪傑の活躍など、講談から漫画の本まで
当時の少年達の心を捉え自分達がヒーロー気分でチャンバラをして遊び、本を
夢中で読んだものだった。NHK大河ドラマ風林火山」に出てくる真田幸隆
(佐々木蔵乃介)は十勇士のリーダー真田幸村の祖父にあたるが武田の大軍が
攻めあぐんだ戸石城を僅か一日で陥落させた作戦もいまだに謎になっている。
ともあれ真田三代に亘った興亡の歴史を描いた池波正太郎の「真田太平記」は
幸隆→昌隆→信之・幸村の三代の型破りなエピソードだが実に面白い読み物だ。
大河ドラマは武田家の内紛が芽生えてくる。武田晴信市川亀治郎)は本妻の
三条夫人(池脇千鶴)の二人の男子と愛妾の由布姫(柴本幸)にも男子出産で
将来の家督をめぐる争いが始まり、戦のほかにも心の休める時はやってこない。
リーダーは孤独だという。それは現代も昔も変わらないし自らの胸三寸の勘と
策略で家の興亡が決まるとなれば領袖の算段を生きなければならないだろう。
山本勘助内野聖陽)は由布姫の子を諏訪家の跡継ぎにするため画策をするが
心の底では武田家の跡を継ぐ事に夢を見ていた。実際は山本勘助武田信玄
上杉謙信Gackt:ガクト)との川中島の合戦で戦死したので夢は叶えられても
残念ながら生きて知る事はなかった。戦国時代は例え親兄弟といえども実力の
強いものが家を継ぐ弱肉強食で題名の如く「非情の掟が」常態のようだった。
信玄も父を追放して後には長男を自決に追い込むが、戦国の譬えといえども
苦渋の選択であった。