隠居の独り言(372)

「センセ」と呼ぶ人、俗に「学者○○」という。学者は学問の事は人に秀いで
尊敬される職業だが世俗の事には疎く、自己を押し付ける人の事を言うらしい。
手鏡教授もハレンチ医者も詐欺公安庁長官もどうして?と耳を疑いたくなるが
恵まれた家に育ち子供の頃から勉強一筋で一流大学を出て難関の試験を突破し
一直線に出世街道を驀進すれば、なかには謙虚な心を置き忘れる人もいるだろう。
医者、弁護士、教授、官僚、政治家がその類で尊敬に値する立派な人は多いが
そうでない人の多さも否めない。それは人からいつも「先生」と崇められれば、
庶民の感覚や立場から離れて、自分よがりが世間の常識と勘違いをしている。
「氏より育ち」という。そのむかし天下を取った豊臣秀吉はどこの「馬の骨」か
分からない出自なのに他人を温かい目で見る事によって頭角を表わしていった。
明治の伊藤博文や昭和の田中角栄もそうだった。彼らが晩節を汚したのは残念だが
相手を気遣う事にかけては自らが苦労しただけに政治感覚、時代感は人間味があり
日本を尊厳ある国家としての自信を植え付けてくれた立派な功績を残している。
今の政治家は二世議員が多く庶民の心を代弁してくれそうな人がいるだろうか。
私は安倍晋三首相が好きだ。それは政策面で今までの自民党政権で長期間に亘り
先送りされてきた教育基本法防衛庁の省昇格、国民投票法、公務員制度それに
年金問題の改革を成し遂げようとしている事で、野党は国会延長、強行採決とは
いうが山積の問題を解決するのが議員の仕事なのだから言い分は当たらない。
だが、安倍晋三は毛並みがいいのは最高だが見方を変えれば、お坊ちゃん育ちで
厳しさと優しさの区別の付け方がイマイチなのは赤城徳彦農水相が事務所経費の
問題で党の足を引っ張っているのに何故か彼の肩を持つのはいただけない態度だ。
いちいち言い訳しないでバッサリ首を切ればいいのではないか。赤城徳彦農水相
発言をまともに信用している人はいるだろうか。三国志諸葛孔明の人徳を語るに
「泣いて馬謖を切る」の言葉は安倍晋三首相も知らないはずがない。
参院選挙は始まったが、きれは一件落着とはいかないだろう。