隠居の独り言(379)

日本人の平均寿命がまた延びて男は79歳、女は86歳になったとの話だが
健康で生きがいを持って、そこまで到達しないと長生きの幸せの意味が無い。
これからの日本は若い人がますます少なくなり老人が増えていく老人国家だ。
今の年金制度は若い人が年寄りを支えていく仕組みになっているが間もなく
破綻がやってくる。社会保険庁がたとえ今まで真面目にやってきたとしても
制度に無理があるのは、少子高齢化時代が進むのであれば仕方のない現実だ。
年金を納めない若い人が多いのは将来自分達が年金を貰える保証も無いのに
何で今の老人たちを支えなければならないと不安と不信を持つのは当然だ。
核家族の増加でジジババの存在感が薄れていくのは淋しいが、若い人たち
年寄りをウザッタイと近寄って来ないし歳を取れば取るほど敬遠されていく。
たしかに時代の急速な進化に付いていけない老人は多いが、それだからって
君たちの親であり祖父祖母で、育ててもらった恩を忘れては人の道じゃない。
私の子供の頃は三世代が同居しているのが普通の家庭で父母が働き祖父母が
子供の面倒をみていた。思い出すのは夜寝る前に祖母が子守唄を歌ってくれ
いろいろな話を聞かせてくれた。なかでも恐ろしかったのは地獄の話で人は
悪い事をして死ぬと地獄に落とされ、血の池、針の山、閻魔様に舌を抜かれる、
それはそれは怖かった。子供心に悪い事が出来なかったのは祖母の夜話しが
トラウマだったからだ。その祖母が脳溢血で急死した時、父は仕事で不在で
母と自分が遺体の始末や弔いをしたが、あまりの悲しさに涙も出なかった。
中学2年の夏だった。当時は年金制度も健康保険も無く誰が病に倒れても
みんなが付ききりで看病したものだ。核家族のそれぞれの独立もいいけれど
一朝、事あるときは普段のコミュニケーションが薄いだけに、意思の疎通が
図れない。今の制度は有難いが欠けているのは家族の情愛の部分だろう。