隠居の独り言(391)

歴史本を見ても政治的な筋書きは書かれても経済の事はあまり論じられない。
NHK大河ドラマ風林火山」も然りで武田晴信市川亀治郎)の甲斐には
金山があり長尾影虎(Gackt:ガクト)の越後佐渡金山はあまりに有名だが
筋書きとしては不要なのだが軍事と経済は不可分を知って観るのも面白い。
どの大名も百姓の農産物の上がりだけでは限りがあり農民=兵のシステムは
戦いが終われば元の農作業に戻らねばならず、戦略的にも長期の戦や大軍を
動かすには経済的な裏付けが無いと名のある英雄も、強い武将も戦えない。
腹が減ってはいくさが出来ぬ、軍資金の確保は欠かせぬ戦略でもあった。
ドラマで山本勘助内野聖陽)が金塊を手にして鉄砲を買いに出かけたのも
武田家の経済力を物語るもので兵器兵糧を備えるにも金鉱脈があっての事で
後の織田信長も堺の貿易都市を手にして軍事力をつけ豊臣秀吉も後を継いだ。
古今東西、戦争にはお金が掛かるのは必須だが先の大戦だって貧乏国日本が
金持ちアメリカに勝てるわけがなく、それを指導した当時の軍部の阿呆共の
後始末を今になってもさせられる敗戦国の辛さは日本人全てが身に沁みる。
閑話休題、ドラマは村上義清(永島敏行)が守る砥石城は難攻不落で晴信は
てこずり「砥石くずれ」といわれたように武田軍は村上軍に再び敗退をする。
それを真田幸隆佐々木蔵之介)の策略で、一夜で落城させたという説だが、
真相は分からない。けれど真田の名を天下に高めたのもこの戦い以来だ。
劇中に夫婦の平蔵(佐藤隆太)ヒサ(水川あさみ)の父、矢崎(岡森諦)が
無残に戦死するが、戦国時代に生きる悲惨さを物語るシーンには涙を誘う。