隠居の独り言(395)

武田信玄の言葉の「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」は
どんなに城を堅固にしても、人の心が離れてしまえば世を治めることはできない、
情けは人をつなぎ結果として国を栄えさせるが仇を増やせば国は滅びてしまう。
現代にも通じることで家族をはじめ社会の全ての人付き合いで心配りをしないと
自分から離れていってしまう。大河ドラマ風林火山武田晴信市川亀治郎)は
家来に対して相当に情が深かったと解釈されているが、別な見方では組織の目的を
達成するためには自らを無防備にして部下の信頼をかちとり城砦を作らなかった。
織田信長豊臣秀吉も立派な城を築いたけれど裏切られて亡びてしまっている。
人心掌握にかけては戦国武将の中では特に抜きんでていた。敵役の長尾影虎は
封建制度の信義を重んじ、宗教的には毘沙門天を信奉し女色を禁じオカルト的な
カリスマ性で覇を成したが、対照的に武田晴信は人間味にあふれて、作戦会議も
他の大名達と違うところは部下の意見をよく取り入れたし、合戦が終わると再び
会議を開き総括をして互いの意思疎通を図った。家来の管理法も適材適所に使い
山本勘助内野聖陽)は諜報部員として越後の長尾景虎Gackt)に会わせて
内情を探らせ、来るべき決戦の準備を怠りはしなかった。歴史にOFは無しだが
武田×上杉の両巨頭の壮大な無駄な合戦は、やがて信長、秀吉、家康の尾張衆に
天下を取られ日本史をつまらなくする要素となっていく。川中島の合戦の前章が
始まったが意地と意地の突っ張りあい、優秀な軍兵の消耗などをしているうちに
織田信長に天下という大きな油揚げを攫われてしまう。