隠居の独り言(407)

敬老の日」とは老人を敬う日だ。かつては神嘗祭で、その年に獲れた新穀や作物を
伊勢神宮天照大御神に奉る儀式だった。戦後に神嘗祭は廃止され老人を大切にして
年寄りの知恵を借りて村作りをしようと農閑期に当る9月半ばを当てて設けられた。
「村の船頭さん」は今年60のお爺さんだが、現代の爺婆は元気なもので結構な事だ。
先日、前立腺ガンの全摘出手術をして丸5年が過ぎたので再発や転移が無いかの精密
検査を受けた。CT,MRI,骨シンチ、その他諸々、結果は半月ほど掛かるそうで
今更じたばたしてもしょうがない。人生は有限でいずれあの世までの時間の流れだが
どうせなら元気で長生きして寿命が尽きた時ポックリ死ぬ。百人が百人、希望しても
ままならないのが、これも人生か。日本人の三大死因は、①ガン②心疾患③脳卒中
約7割を占めるらしい。ガンは遺伝子や細胞レベルのアプローチが進みガン細胞だけを
標的とする薬や免疫機能で細胞を攻撃する治療など近い将来には全面克服も可能という。
心疾患や脳卒中などの原因の高血圧や糖尿病など生活習慣病は個人の生き方が相当に
関わるもので病気に対する認識をしっかり持てば人生100年も夢でないかもしれない。
それと65歳以上の高齢の認知症は5-10%が罹ると云われている。中でも深刻なのは
アルツハイマーで発症の原因も治療法も解明されていないそうで克服するための研究や
努力も先が読めないそうだ。自分は医者じゃないからかなりいい加減だが病気を患うと
同病者の体験談や書物を読んでガンや生活習慣病などにはけっこうな事情痛になる。
長寿はただ生きるだけでなく健康で長く暮らすのが目標でいつまでも夢を持つこと。
健康寿命、という平均寿命から怪我や病気で療養する期間を差し引いた呼称があって
自立した生活を出来る目安で日本人男性は約71,6歳、女性は約76,1歳で健康でない
暮らしをすることになる。平均寿命との差を単純に計算すると男6,5年、女8,9年で
人生の終盤も荷は重いものだ。現在74,5歳、あと何年の敬老の日を向かえられるか、
これは神さまの思し召し次第だが、残りは“行雲流水”これしかないだろう。