隠居の独り言(410)

先の参院選で大勝した民主党小沢一郎は国民の「民意」がそうさせたと言う。
今の中学校の社会教科書を見てみると「1960年に日本では日米安全保障条約
改定により新条約は日本を米国の起こす戦争に巻き込まれるおそれがあるとして
反対運動が盛り上がった」教科書は反対理由のみで改訂の意味が書かれていない。
安保条約は1951年のサンフランシスコ講和条約と同時に結ばれた日本と米国の
軍事条約だが、米軍が日本の基地で外国からの攻撃に対し自由に使用する権利が
ある一方で日本国の安全を守る義務を明記されていない不平等な条約だった。
時の総理の岸信介は就任直後に訪米してアイゼンハワー大統領に沖縄・小笠原の
返還とともに不平等で歪んだ内容の安保条約の改定を申し込み日米平等な条約に
漕ぎつけた。遡れば1947年に施行された憲法では再軍備が禁止され自国を守る
防衛体制が無く、しかも当時は東西冷戦状態が顕著なものになってソ連と中国は
日本を仮想敵国として中ソ軍事同盟が結ばれ、朝鮮戦争の砲煙が残る極東情勢は
独立にあたって日本の安全保障をどうするのか大きな問題になっていた。それに
対して社会党、総評、全学連、メディア等は「新しい安保は戦争に巻き込まれる、
平和憲法を守れ」と反対運動を展開し国会議事堂をはじめ各所でデモ隊が荒れた。
いわゆる60年安保騒動だが当時はその思想が正義の味方で「民意」でもあった。
官邸の中で死を賭して岸信介は新安保を通したが、若し改定を阻止されていたら
今の日本の繁栄は無かったし、中ソの共産圏に組み込まれていたかも知れない。
「民意」とはそんなものか、先の大戦だって「民意」に支えられて玉砕をした。
民主党小沢一郎が言うようにテロ特措法を阻止する事が「民意」なのだろうか。
テロとの戦いと同時に輸入の石油の大半を運んでいるシーレーンのインド洋の
国際的な守りから日本が撤退してもいいのだろうか。教科書の文面も民主党
母体の一つ日教組の思想がありありだが、これが「民意」とすれば日本の将来は
危ういものとなる。国連安保理自衛隊の燃料補給を促したが、見方を変えれば
テロとの戦いが日本の行動無くして成り立たない重要性を身に沁みた事になる。
小沢一郎が「あれは俺のシナリオだよ、世界が日本を見る目が変わったと思う」
そしてテロ特措法に賛成したら男が上がるのは必至だ。