隠居の独り言(448)

自分は70代半ばだが、この年頃ともなると親戚友人やその配偶者がホームや
病院へ入院しているのも珍しくなくなる。時々ギターを抱えてホームの慰問で
歌いにいくが同世代同士のお付き合いのようで、どっちが慰問されているのか
分からなくなる時もままあるのは哀しいのか嬉しいのか自分乍ら複雑な思いだ。
都合のいいのは同じ時代を生きた同士だから歌う曲目は若い時分に口ずさんだ
歌を歌えばみなさまに喜んでいただける。例えば「戦友」この歌は日露戦争
時に作られたが戦前、戦中を生きた殆どの人が知っているのでとても受ける。
この歌の自分の経験は戦争中、小学校で生徒が山を開墾するため行軍した時に
欠かせない歌でこれを輪唱しながら山へ向かった辛くも楽しい思い出が残る。
♪ここは御国を何百里、離れて遠き満州の・・軍歌でありながらなんて哀愁に
満ちた歌詞とメロディーなのだろう。歌は皆の苦しい道のりを助けてくれたし
学校の裏山は満州だった。戦時中を生きた今の年寄りたちの若き日の共通した
苦労の歌は「戦友」と思うのはホームで歌うと誰もが当時の戦友だからだ。
ちなみに戦後アイ・ジョージもこの歌を絶唱して観衆を感動させたものだった。
病気や加齢で、判断や融通が効かなくなる人、頑固になる人、口が重くなる人、
精神的な衰えは身体の衰えとともに必ずやってくるものだが、心を癒すものは
小さい頃に唄った歌唱で音楽療法の根本はここにある。人生の最終コーナーは
仏頂面は禁物だ。歌を歌って賑やかに過ごしたい。