隠居の独り言(460)

12月23日の天皇誕生日で陛下は74歳になられる。昭和8年生まれだから私と同年で
動乱の昭和の同じ世代を生き抜いた者同士として、親しみを持ってお誕生日を祝いたい。
昭和8年といえば世界中で戦乱のいぶきを感じはじめドイツではヒトラーが首相になり
ナチスが政権を獲得してヨーロッパでは世界大戦を予感させ、日本は軍を満州華北
進め、国際連盟の「満州撤退勧告」を蹴って時の外相・松岡洋右は国連脱退宣言をして
世界から孤立していく。その時代に生まれた者には世間の波から逃れる事は出来ない。
大正ロマンから昭和モダンにかけての1910-20年代アメリカや日本も繁栄してけれど
1929年のアメリカ株価大暴落の世界恐慌で一挙に国際協調路線が崩れ第二次大戦への
大きな一歩を踏み出すことになり各国が全体主義の道でぶつかりあって戦争へと進む。
日本中の男達は赤紙一枚で兵隊に取られ、残された女子供らは様々な苦労を強いられ、
そのうえ戦争末期には空からの爆撃に逃げ回り飢えと恐怖の体験は惨憺たるものだった。
敗戦になり極東軍事裁判では占領軍GHQは昭和天皇の誕生日の1946年4月29日に
被告人を起訴し、2年後の現天皇の誕生日の12月23日に7人の死刑執行をしている。
GHQ、特にアメリカの皇室に対する何と卑劣で幼稚な作為には凄い怒りを覚える。
先の戦争の反省は、負けた事、惨めなものばかりが教えられ、日本人として生まれた
幸せ、自信、尊厳を軽んじているのは情けない限りだが世界大戦に至る経緯や原因を
追求して、何故ヒトラーと手を組んだのか、何故同盟していた英国と手を切ったのか、
日清、日露、世界大戦の勝利が指導者と国民の心を傲慢にした事以外に考えられない。
それは現在でも同じで国際情勢を長い目で見る事、誰と仲良くして誰を冷静に見るか、
欧米などの民主国家を選ぶのか、中国、ロシアなどの全体主義国家と手を結ぶのか、
政治の方向がテロ特措法反対等の日米同盟を否定するほどの変節を迎えているような
気がしてならない。今までの外交方針が百八十度近く変えるのであれば国民にきちんと
理由を説明するべきだ。先の参院戦では焦点になっていないものを勝手に変えては困る。
戦争の反省は、好き嫌いはあってもアングロサクソン国家と仲良くするしかないだろう。
陛下の生きられた時代は国の浮沈に関る重大な時機で、さぞご心痛であったに違いない。
謹んで74歳のお誕生日、おめでとうございます。