隠居の独り言(462)

薬害C型肝炎訴訟で福田康夫首相は司法が認定した賠償責任の範囲にとらわれずに
薬害肝炎の被害者全員を一律に救済しようとする議員立法を今国会に提出する事を
決めた。和解交渉が長引くと思われていた矢先の首相の決断に素直に拍手を送りたい。
原告側も「大きな一歩」と評価もしているし決着の道筋の期待感を滲ませている。
薬害という人災がいつになれば根絶されるのだろうか。先のエイズ薬害もそうだし
私の母が罹り、後半生をベッドの生活を強いられたスモン病も典型的な薬害だった。
スモン病の場合は胃腸の調子が悪かった人が服用していたキノホルム剤が原因だが、
最初は原因が分からず発病(下肢の脱力、起立・歩行の不安定が起こり重症例では
両下肢完全麻痺、約20%に視力障害をきたす)して10年位後に薬害であることが
判明したために病院のカルテの廃棄等で投与の裏づけが難しく患者が2万数千人も
確認されているのに裁判で救済され、国と製薬会社で補償した人は6000人余りに
過ぎなかったのは今でも悔しい。薬を認可した厚生省と販売した三つの会社、医者、
薬局などが責任遁れに終始したのも薬害患者を拡大させていったが、病気に罹った
患者は元の身体には戻らず、いまだに特効薬は無い。裁判でも被害者救済の道筋を
定めた確認書に調印し当時の厚生大臣が謝罪すると共に薬害根絶の努力を約束した。
あれから40数年の歳月が経つのに繰り返される薬害は単なるミスとしか思えないし
責任論もあまり出ないのはどうしてか。相変わらずの厚生省の反省の無さと怠慢には
腹が立つが人の命を預かる役所として、これを機に政治も超党派で真剣に取り組んで
もらいたい。母の人生を台無しにした薬害はもうたくさんだ!!