隠居の独り言(479)

NHK大河ドラマ篤姫」は、お家騒動の末に、ようやく藩主となった斉彬
高橋英樹)が薩摩にお国入りしたところだが、九州最南端に位置する薩摩を
めぐる当時の対外的な事情と、それにまつわる沖縄を前回に続いて記してみる。
19世紀には世界が帝国主義になって白人のアジア侵略が激しいものになるが
東南アジアの最後の行き着くところは日本で、その足がかりとして沖縄諸島
幕末近くには英米仏露が度々訪れ隙あらば領土として呑み込んでしまう魂胆が
ありありと見えるが地勢的にも国際情勢から危険度が非常に高いのは現代でも
変わらない。それでも沖縄の人達を通じて薩摩は日本が鎖国していた時代でも
海外との付き合いがあったようでインターナショナルな感覚は持っていた。
沖縄は17世紀初頭には薩摩藩に侵略されてその支配を受けるようになったが
対外的には、あくまで琉球王国としての独立国で中国・清とは従来からの姿の
進貢貿易を行なっていた。薩摩の植民地になった事を中国に知られるのを恐れて
使節団が滞在中は薩摩の役人を控えさせたというが属国の悲哀というべきだろう。
沖縄の悲劇はそれに終わらず薩摩の侵略から、先の大戦でも壊滅的な破壊を受け、
戦後は占領軍の支配を受け日本返還後も土地の多くを基地化されて現在も苦しむ。
幕末のリーダー的な薩摩の台頭も沖縄の歴史を無くして語れないし、今も昔も
日本の防衛の最前線として無くてならない沖縄に本土は感謝しても尽くせない。
ドラマは斉彬が藩主になっても今までの反主流派を放免も処罰も無いのは何故と
於一(宮崎あおい)や尚五郎(瑛太)は、斉彬の側近の小松清猷(沢村一樹)と
その妹のお近(ともさかりえ)を訪ね斉彬の真意を問い質しても中々答えないが
佐賀藩鍋島閑叟と並んで幕末の産業革命を推進した二人の名君と称された
島津斉彬は意図あっての処置に違いない。