隠居の独り言(482)

一昨日のコメント欄にja3sjさんからいただいた文章は「昔は良かった!」まあ、
誰しもちょっと言いたいセリフではありましょうが・そうですね、ワシのように
軍国少年を過ごしたモノは、どこを叩いてもそのセリフは出てきませんワ。
82歳、旧日本軍陸軍2等兵・・・とあるが、戦争中に遡ってみると不平とか
不満を垂れようが人はあの時代を生きるしかない。四の五の言っている余地も
あるはずが無く明日の命さえ知れなかった。戦中戦後の惨憺たる体験を積んだ
自分にとっても現代の文明や、生活水準は想像も出来なかった夢のような世界で
贅沢を言ったら罰が当たる。それでもいつの時代も老人は「今の若かい者は」と
「昔は良かった」の二つの定番の言葉を発するのは老いた愚痴なのだろうか。
たしかに歳を重ねれば時の経つのが早くなった感じを持つのは老人特有の感覚で
それは仕方ないとしても、その愚痴が「昔は良かった」にすり替えていると思う。
「昔」も各人各様に時代や背景が違うのは当然だが、いい思い出もあれば逆に
思い出したくない醜く恥ずかしい部分もあるだろう。でもそれが人生の時間だ。
歳を取っても何かに没頭し崇高な信念を持ち続ければ今ある時間が最高だろうし
昨日より今日、今日より明日と成長する者に昔を懐かしむ回顧趣味は似合わない。
人生を山に例えれば成長期の頂上目指して登っている最中は精神も肉体も完成に
向けて一歩一歩足を踏みしめながら時間を掛けて未来という前途に歩いていた。
老人の時の経つのが早くなったのとは反対に若い時分の時間は遅かったはずだ。
子供の頃、青春時代、結婚、子育て、夢中で働いた時、そんな燃えたあの頃の
人生の頂上を極めればあとは下り坂、上りより下りのほうが時間の経過は早い。
同じ一日24時間なのに老いてからの時間の短いのは肉体が奈落に落ちるように
衰える一方だからで今更あがいてもどうしようもない。身体的な衰えから来る
精神の弱さも老いを加速させている。今日で一月も終わりだが、早いと思うか
遅いと思うか、人生の充実度に掛かっている。心して身を引き締めたい。